たまには長期トレンドフォロー型のEAもどうですか?

学習用の無料EA第9弾は、長期勝負ができるトレンドフォロー型のEAにしました。世の中に出回っているEAの殆ど(私の自作もそうです)が短期勝負のものですが、一般的にはトレンドが出ている限りホールドし続けるのが良いと考えられるので試してみようと思いました。トレンドがあると判断される限り何日でも持ち続けます。
なぜ長期勝負のEAが無いのか?
長期勝負のEAがほぼ存在しない理由は需要が無いからです。
※「ほぼ存在しない」という書き方をしているのは、「私は今までに一度も見たことが無いが、実際はあるだろう。」という推測をしているからです。(人気が無いため目立つところには出てこないイメージです。)
需要が無い理由を私なりの観点でいくつか挙げてみようと思います。
- トレード回数が少なくなるので統計的優位性に欠ける
- トレード回数が少ないので退屈
- 動かしても結果が分かるまでの期間が長過ぎる
- 長期勝負なら裁量でやればよい
1、2、3はユーザー目線で言えばかなり望ましくない状況なので、これがほぼ世の中に出回らない原因と考えられます。
4は少し毛色が違いますが念のため上げました。
EAの利点は自分の代わりにトレードをしてくれるだけではなく、自分が立てた仮説で過去の値動きに対してトレードを行い、どうなるかを確認することができることです。そう考えると4は観点が異なりますので、1、2、3が長期勝負EAの需要が無い理由と言えそうです。
理由はある程度推測できましたが、これらの理由のみで長期トレンドフォローに手を付けないのは勿体ないので今回作成して検証してみようと思いました。
EAのダウンロード
以下リンクからEAをダウロードしてください。
ファイルの配置方法などが分からない場合は、先に以下のリンクからいくつかの記事をご確認ください。
EAについて
仕様
通貨ペア、ロット数、タイムフレームは固定しています。
通貨ペア | [GBPJPY] (固定) |
タイプ | 長期順張り |
ロット数 | 0.01 (固定) ※最小ロットが0.1の業者では利用できません。 |
最大ポジション数 | 1 |
タイムフレーム | M15 (固定) |
ツール | MT4 |
トレンドの判定は少し特殊なものを使用しています。特定時間帯にトレンドの判定を行い、上昇傾向が優勢であれば買い、下降傾向が優勢であれば売ります。
上昇傾向と下降傾向の判定方法は色々と考えられると思いますが、今回は移動平均線の上昇回数と下降回数の差によって判断しました。
ポジションの管理については、途転のシステムとしたので常にポジションを保有している設計です。(最大ストップロスは設定した場合は、途転よりも前にクローズされる可能性があります。)
設定値
項目 | 値 |
証拠金によるエントリー制御 | 0 |
スプレッドによるエントリー制御 | 50 |
時間によるエントリー制御(開始) | 5 |
時間によるエントリー制御(終了) | 9 |
移動平均線の期間 | 120 |
トレンドの強さ | 46 |
最大ストップロス ※ | 0 |
※最大ストップロスは「0」を設定すると、ストップロス無し(途転のタイミングで決済)となり、1以上の値を入れればストップロスの設定が行えます。
パフォーマンス

トレード数は19年で416回なので、22回/年となります。通常のEAに比べて少ないと思いますが、少ないからこそスプレッドや手数料による誤差は減ります。
上記のバックテスト結果はスプレッド25のものですが、試しに100にして検証してみました。

項目 | スプレッド25 | スプレッド100 |
純益 | +2815.98 | +2534.70 |
PF | 1.70 | 1.61 |
最大DD | 14.11% | 16.10% |
スプレッドを100にしても思ったほど数値は劣化していません。100でも問題ないパフォーマンスが出るのは高頻度EAには無いメリットだと思います。
資産曲線に関してはスプレッド25でも100でも単独で利用するには滑らかさが足りませんが、ポートフォリオの1つに加えて運用するなら面白いと思います。
もう少し別の始点で解析するために、 下図の左側に損益プラスのトップ10、右側に損益マイナスのトップ10を並べました。

0.01ロットで検証したので、ベストトレードのProfit: 614.89ドルというものは60円以上の幅を抜いているということです。トレード時間を見ると113日間ホールドしていたことが分かるかと思います。マイナスの場合もそれなりに大きいですが、このようにとても大きな幅を抜けるのは長期トレンドフォローの魅力ではないでしょうか。
最後に
実運用するEAは「逆張り、トレンド中の逆張り、ブレイクアウト」などがメインであり、さらに短期のものが殆どです。逆張りタイプのものは大きな含み損を抱えたまま数日我慢したうえに損切りということもあります。
そんな中にこういったタイプのEAが1つあっても良いのではないかと思います。このEAは長期トレンドフォローの優位性を検証するためのもので、リアル口座で運用しようとは思いませんが、考え方として参考になれば幸いです。
取引数の多いEAは、「業者にスプレッドや手数料を大量に献上したうえでユーザーにも利益を還元する」というある意味ではWin-Winの素晴らしい設計ですが、業者へ支払うコストを減らせばユーザーが儲かる確率が上がるのは必然と言えるのではないでしょうか。
トレード数が少ないことによる統計的に不利な部分は、複数マーケットで検証することでカバーできますので、今後さらにカスタマイズしていきたいと思います。
何か面白いトレードアイデアをお持ちの方はご連絡ください。内容や難易度にもよりますが、時間があればEAを作成して検証してみようと思います。
ルール化されているトレードアイデアならほぼ100%システムで再現できると考えていますので、比較的難しい条件でもどうにかなると思います。私はそこまでスキルが高くないので実現できない可能性もありますが、世の中には天才的なプログラマーが沢山いますので実現できないことはほぼ無いです。面白いアイデアがあれば、まずは誰かに相談してみてください。
興味のある方は以下もご覧ください。
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